事業を始めると、取引を記帳する必要がでてきます。
その記帳方法について消費税の取り扱いをどうするかによって、「税抜処理」と「税込処理」があります。(消費税のお話ですから、消費税の納税義務者でなければ関係ございません!)
まず、どのような処理かというと・・
◎税抜処理・・・売上金額など取引金額を消費税抜きの金額で記帳する方法
◎税込処理・・・売上金額など取引金額を消費税込みの金額で記帳する方法
例えば・・
『美容院に、お客様が来店しカット5,000円(税込5,400円)で提供した』という場合
借方 | 貸方 | |
---|---|---|
税抜処理 | 現金 5,400円 | 売上 5,000円 仮受消費税 400円※1 |
税込処理 | 現金 5,400円 | 売上 5,400円※2 |
(借方、貸方は簿記の言葉ですので、参考です。)
では、どちらの処理方法をとるのかによって、税金の負担は変わるのでしょうか???
一般的に法人税(会社形態の場合)・所得税(個人事業の場合)の節税を考える上では、税抜処理の方が節税になると言われています。
具体的に、消耗品の購入、接待交際費の例でみていきましょう。
10万円未満のものの購入は消耗品として、買った時に全額経費にできます。10万以上になると、減価償却という手続きによって、買った期には購入代金の一部しか経費にすることができません。
また、法人の場合、接待交際費については、経費にできる限度があります。ただし、1人あたり5,000円以下(役職員間の飲食費は除きます。)の飲食費は交際費としなくてよいという規定になっています。
これら金額の範囲内かの検討は、税抜・税込、採用している処理方法によります。
<例その1> 99,800円(税抜)の机を購入した場合!
税抜処理の場合には、税抜金額で判定しますので、99,800円が10万円未満ですので、全額購入した期に経費になります。税込処理の場合には、税込金額で判定しますので、99,800円×1.08=107,784円の税込金額で判定し、10万円以上ですので、このうち一部しか購入した期には経費になりません。 |
<例その2> 1人あたり4,800円(税抜)の飲食をした場合!
税抜処理の場合には、税抜金額で判定しますので、4,800円が5,000円以下ですので、税務上の交際費の定義から外れ、全て飲食をした期に経費になります。税込処理の場合には、税込金額で判定しますので、4,800円×1.08=5,184円の税込金額で判定し、5,000円を超えていますので、税務上の交際費となります。そうすると、その他の交際費も合計した総額のうち、限度額(一定の計算方法で計算した枠)を超えている部分は経費になりません。 |
税抜処理のメリット!
税込処理の場合には、上記※1のように、消費税部分の金額が一目瞭然というメリットもあります。納めるべき税額をしっかりと把握できます。 |
一方・・税込処理のメリット!
税込処理の場合には、上記※2のように記帳が単純で楽にできるというメリットがあります。また、消費税も込みで売上や仕入等の取引金額の記帳を行うので、取引規模が大きく見えるというメリットもあります。 |
結局・・
節税面だけで記帳方法を選択するわけでありません。 それぞれの処理方法のメリットを全体的に勘案して、ご自身の会社・事業にあった記帳方法を選択しましょう!!