店舗の造作(空調設備や配線工事)、美容機器、机やパソコン等の備品等々、ものによっては高額なものもあります。 
そのような高額の出費をした際に全て経費にしてしまってよいのでしょうか・・・?

答えはNoです。

通常そのような高額の資産であれば、何年かに渡って使用するものがほとんどです。つまり、それらの資産は、「その資産を使用する毎年の」売上に貢献しています。 
ですので、購入した期だけの経費とするのは適切ではなく、使用する期間にわたって経費にしていきます。この計算手続きを「減価償却」といいます。

ちなみに、使用することができる期間のことを「耐用年数」といい、確定申告で計算をする際に用いる耐用年数は、資産の種類・用途ごとに法律で定められています。つまり、美容機器なら何年、パソコンなら何年と法律で定められているものを使用して、減価償却計算を行います。(各年に経費にできる金額を計算します。)

(例)今年の(H25年)初めに40万円のパソコンを購入した。耐用年数は4年である。

この場合、40万円を全額購入したH25年の経費にするのではありません。
耐用年数の期間に渡って40万円を期間按分します。
そうすると、各年の経費となる金額は以下の通りです。
H25年 10万円(購入金額40万円÷耐用年数4年。以下同じ。)H26年 10万円H27年 10万円H28年 10万円(参考:個人事業主の場合には、特に税務署に届け出を出さない限り上記のような単純に40万円を耐用年数の4年で割るような「定額法」という方法で計算します。法人の場合には「定率法」という方法での計算もありますが、ここでは割愛します。また、その他細かい計算についても割愛しています。



文房具や日用品等の少額のものは、確かに1年以上使うものもあるかもしれませんが、その様な少額なものについても減価償却計算を行うのはとても面倒ですし費用対効果が悪いので、ある程度高額なものついて減価償却を行うこととなっています。

では、いくらのものについて減価償却計算が必要なのでしょうか・・・

答えは・・・ 
青色申告者であれば、30万円未満のものは、購入した際に全額経費にできます。ただし、年間300万円までです。例えば、32万円のものを購入した場合には減価償却により計算が必要となり、購入に要した金額を耐用年数にわたり経費計上。29万円のものなら、購入した年に29万円を経費に計上して終わりです。

一方、白色申告者は10万円未満です。 
ただし、10万円以上20万円未満のものについては、種類・用途に関わらず、一律3年で均等に按分した金額を経費に計上するという「一括償却」という制度もあります。

いずれにしても、青色申告者の方が、購入した年に全額経費にできるボーダーが低く、購入した年の経費が多くなるので、所得が減って税金が安くなります。 
例えば、同じ25万円の資産を購入したケースであっても、青色申告者は25万円丸々が購入した年の経費となります。 
これに対して、白色申告者は、減価償却計算により算出された25万円のうちの「一部」が購入した年の経費となります。残りは、翌年以降の経費です。 

金額が大きいものを購入した際には、気を付けましょう!!

※平成25年2月25日現在の法律に基づいています。